☆何が目標か?
「☆何に注目したらよいのか? (その2)では、
工場の生産の状況を把握するための5つの尺度について述べました。すなわち
が、それらの尺度でした。
では、これらの尺度が大きいほうが望ましいのでしょうか、小さいほうが望ましいでしょうか? ひとつひとつ検討していきたいと思います。
- まず、サイクルタイムは短いほうがよいです。その理由はあとで述べます。
- 次に、スループットは単位時間あたりに生産される製品の数ですから、多いほうがよいです。これには、その製品が売れるならば、という条件がつきます。売れない製品をいくら作っても損するだけだからです。ここでは、製品は作られれば売れるものだ、というふうに状況を単純化しておきます。
- WIPは仕掛品ですから、これは少ないほうがよいです。すぐにはお金に変えることの出来ないものを工場内に多く持っている、ということだからです。さらに、仕掛品が多ければ保管場所が多く入ります。その結果、保管場所代が余計にかかることになってしまいます。
- リードタイムですが、お客様のことを考えれば、これは短いほうがよいですね。
- 最後に顧客サービスレベルですが、これもお客様の立場で考えれば高いほうがよいですね。
以上述べたことのうちで、「サイクルタイムを短くする」というのはおもしろい性質を持っています。まず、リトルの法則というものがあって、これによれば、サイクルタイムを短くすれば自動的にWIPが少なくなるのです。WIPが少なくなるのは望ましい変化ですから、これは一石二鳥です。
ところがサイクルタイムを短くすることは一石二鳥どころではありません。ちょっと考えれば分かるようにサイクルタイムを短くすれば、リードタイムも短くなり(これも望ましい変化)、顧客サービスレベルも高くなります(これも望ましい変化)。サイクルタイムを短くすることは一石二鳥どころか一石四鳥だったわけです。それ以外にもサイクルタイムを短くすることのメリットがまだあります。