☆何が目標か? (その2)

サイクルタイムを短縮することのメリットはまだあります。


その1は、売り時を逃しにくいということです。「これは売れる!」と思って作っても、市場に出るまでに時間がかかっていたら、その間にライバル会社が似たような製品を出してしまうかもしれません。そしてその結果、思ったように売れなかったり、値下げ競争に巻き込まれたりするかもしれません。売れる状況の時にタイミングよく製品を市場に送り出すにはサイクルタイムが短いほうが有利です。


その2は、1と似ていますが、売れなくなった時に被害が少ないということです。サイクルタイムが短ければWIPも少ない(リトルの法則からそう結論づけることが出来ます)のでした。そうすると売れなくなった時に工場に残っている未完成品は、サイクルタイムが短いほど少なくなり、よって無駄になる未完成品も少なくて済む、というメリットがあります。


その3は、製品の改善改良を何回も出来るということです。サイクルタイムが短ければ製品が早く完成するので、その出来栄えをみて手直しを早めにすることが出来ます。また、市場に出てからの評判を元に改善をかけることも早く出来ます。要するにフィードバックが早い、ということです。


その4は、早くお金を回収することが出来るということです。製品を作り始めてから早く市場に出して早く売ることが出来れば、早くお金を回収することが出来るわけです。資金繰りの苦しい企業にとってはこれは死活問題です。


このようにサイクルタイムを短縮することは、さまざまななメリットを持っています。


こんなわけで、私は「サイクルタイムはより短く、スループットはより多く」を工場の目標としてかかげました。しかし、これがそう簡単な目標ではないのです。なぜならサイクルタイムを短くしようとするとスループットが少なくなりがちであり、逆にスループットを多くしようとすると、サイクルタイムが長くなりがちだからです。



次はこの話をいたします。