☆ボトルネックに注力せよ(その4)

ボトルネックを改善するとは具体的にはどんなこと?

第一に挙げられるのは、ボトルネック・ステーションの稼動を止めないことです。ボトルネック・ステーションを注意して観察した時に、そこが部品待ちで稼動していない、とか、休憩時間だから停止している、ということはありませんでしょうか?


 ここからはゴールドラット博士の有名な本「ザ・ゴール」

の受け売りになってしまうのですが、この本にはこんなセリフが登場します。

  • ボトルネックで1時間、時間を無駄にすれば、工場全体で一時間無駄にしたことと同じことになる


どんなに他の工程、他のステーションががんばってもボトルネック・ステーションを1時間空けてしまたっら、その分だけ工場全体の生産量が減ります。つまりスループットが減ります。それは、前に示した図1

  • 図1

の一番狭いところをより狭くする行為なのです。ですから、ボトルネック・ステーションは常に稼動していなければなりません。


そのためには、稼動できるのに止めているような状況をつぶすという施策が考えられます。


ボトルネック・ステーションの故障率を低減する、という施策も考えられます。


部品、材料が到着しないせいでボトルネック・ステーションが空くことがないようにする施策も考えられます。これは、ゴールドラット博士によって、DBR(ドラム・バッファ・ロープ)手法として定式化されています。これについては次回、述べることにします。


さらに、ボトルネック・ステーションで無駄な生産を行っていないか点検することも考えられます。たとえば、ボトルネック・ステーションで加工したあと品質検査をして何%かの半製品を廃棄する、というようなことが行われていませんでしょうか? その何%かはボトルネック・ステーションに無駄な生産をさせたことになります。さて、そこで考えてみましょう。その品質検査はどうしてもラウティングのその位置で行わなければならないものでしょうか? その位置で行わなければならないものならば仕方がありませんが、もしボトルネック・ステーションの前で品質検査が出来るのであれば、ボトルネック・ステーションに無駄な生産をさせることを防ぐことが出来ます。


さらに、ボトルネック・ステーションの装置台数を増やす、という施策も考えられます。
そんなことを言うと「装置を増やすには金がかかるんだぞ! それは生産性改善の施策として反則だろう!」とお叱りを受けるかもしれません。でも、ボトルネック・ステーションキャパシティが生産ライン全体のキャパシティを決定しているのでした。もし、今、ボトルネックになっているステーションが安い装置からなるステーションであったならば、装置を購入することも検討してみるべきです。

逆に言えば、本来ボトルネック・ステーションは、容易に装置購入が出来ない高価な装置からなるステーションに位置すべきなのです。もしも安い装置からなるステーションボトルネックになっているのでしたら、その装置を増強してボトルネックでなくしてしまい、もっと高価な装置からなるステーションボトルネックになるようにすべきです。